「路傍の石」山本有三

作成 2014年3月26日 （2024年3月29日更新）

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中学生の時に塾の先生に勧められて読んだ本。当時はダサイ話だなと思って、なんで私にこんな本を勧めるのか分からず、なんだか嫌な気持ちがしたことを覚えています。

もっとはっとする気づきのようなものが得られる事を期待していたのですが、ただの不運な子供の苦労話でありきたりすぎると感じたのです。

ですが、大人になって今回は映画として味わってみたところ全然違う感想も抱きました。

理不尽な事は体験しないと分からないかもしれないけれど

本を読むと違う人生が体験できるとは思っています。でも、実際に体験する事にはかなわないし、人によってどれだけ想像できるか？感じられるか？は大きく違うものでしょう。

「路傍の石」を初めて読んだ時の私は、世の中の理不尽さがどれほど悔しくつらいかを全く理解していませんでした。

多少の人生経験を経て、差別や大人のずる賢さや意地悪な人間などを目の当たりにした後では、主人公吾一の健気さが心に沁みました。

理不尽な思いをした時にこの物語を思い出すことはありませんでしたが、そういう事もあると無意識の中に既視感はあったりと、本を読んだことの恩恵は受けていたのかもはしれませんが･･･

人生ってそういうものだからなんとかやるしかないんだなんて、吾一に共感し、応援したくなるような気持を抱いた事は、自分自身意外でした。

世界にたったひとりの自分

学校の先生が吾一にかけた名言があります。

世界に、なん億の人間がいるか知れないが、おまえというものは、いいかい、愛川、愛川吾一というものは、世界中にたったひとりしかないんだ

先生が言いそうなベタな言葉ではありますが、胸に響きました。

ちゃきちゃきとして未来に夢と希望をもって意気揚々としている子供にかけたくなる言葉です。

悪い子じゃないし、色んな才能の欠片みたいなものは持っていそうなんだけど、人とぶつかりそうで苦労しそうで人生ハードモードになりそうなちょっと変わった子。

子供の頃の私も、似たような一面はあったように思います。塾の先生がこの本を勧めてくれた意味がやっと分かったような気がしました。

「路傍の石」山本有三

映画：「路傍の石」山本有三

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