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「天人五衰 豊饒の海 四」三島由紀夫

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一気に読んだ四部作。壮大な物語だったけれども、読み終わってみるとすべてが夢の中の出来事だったかのようにふわふわとした気持ちになりました。

そして、それと人生そのものが類似したもののように思えてきました。

実際にあったことの記憶なのか?想像しただけのことなのか?実は、体験も夢は想像も大差ない事なのではないでしょうか。つまり、人生には、なにもない。

何も持たずに生まれ、何かを得ているような気になって、ほんの一瞬を過ごし、思い出を尊ぶが、何も持たずに、最初と同じ、何も持たずに、ただ無と帰す。

おそらく科学的にも「無」というのは、今のところ一番最適と思われる考え方の一つでしょう。ただし、だからといってそれをどう捉えるか?それについてどう思いどう考えるかは人それぞれで、そこに大きな意味があるように思います。

この物語を書き終えて、それを自分の人生の最後とし、自害をした三島由紀夫という人の心の中には何があったのか?訳が分からなくなってしまいました。

俗界の天人とか仏教について

三保の松原を訪れた本多が欲界六天の天女を想像している描写

俗界の天人たちは、男女しきりに相近づくけれど、夜摩諸天の男女は手をとり合うだけで、兜率蛇天はお互いに心に想い合うだけで、化楽諸天は見つめ合うだけ、他化自在天は語り合うだけで、情を遂げることができるのである。

人間界に近い俗界の六欲天。六欲天とは、
他化自在天(たけじざいてん):欲界の最高位
化楽天(けらくてん):寿命は8000歳の場所
兜率天(とそつてん):将来ブッダとなる菩薩のいる場所
夜摩天(やまてん):閻魔王のいる場所
三十三天(さんじゅうさんてん):帝釈天のいる場所
四大王衆天(しだいおうしゅてん):持国天・増長天・広目天・多聞天の四天王のいる場所

三界(淫欲・食欲の二欲がある欲界・色界・物質を超えた無色界)、六道(地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天上界)、十界(六道+声聞界・縁覚界・菩薩界・仏界)、十二縁起(無明・潜在的形成力・識別作用・名色・六感覚器官・接触・感受作用・渇愛・執着・存在・生・老死)など、仏教にはいろいろな世界観や考え方があって、もう少し知りたいと思ったのでメモ。

自意識こそ悪

本多が透を見て自分自身について思う事

その生涯を通じて、自意識こそは本多の悪だった。 この自意識は決して愛することを知らず、自ら手を下さずに大ぜいの人を殺し、すばらしい悼辞を書くことで他人の死を楽しみ、世界を滅亡へみちびきながら、自分だけは生き延びようとして来た。

私も、自分自身を含め、ほとんどの人間が悪だと思う。自分のことしか考えず、自分の利益しか考えていないし、いい人そうにふるまっていても、行動の源は恐ろしいほど身勝手だろう。

頼るもののない世の中

透という人物は、理解しずらく嫌な人間の様に描かれていますが、私は憎めない感情が少なくありません。

頼るものが一つもない世の中に、この少年は、人間の躓きのもとになる出世欲とも野心とも金銭欲とも恋愛とも、何ら関わりのない小さな氷の城を築いていた。 そもそも自分を他人と比較するのが嫌いだったから、嫉妬も羨望もなかった。世間との和解の道をはじめから絶っていたから、誰とも争わなかった。 無害の、やさしい、可愛らしい一匹の白兎と思われるのに委せた。

運命や環境や生まれ持ったものでその人の多くが決まるのだから、嫌な人間というのも仕方がない。

何かが出来ない事や何かが欠けている事はみんな同じ。まぁ、他人や社会に害を及ぼすことなど、すべてにおいてそういう事を容認できるとは限りませんが、仕方がない事ってたくさんあるという思いは、色々な物事を知るにつれて深まっていきます。

若さと老いと時間について

世界の動向の捉え方について、若いころと老年期とは大分変っていきます。人生をスケーターに例えたこんな表現がありました。

氷が割れるとわかっていたら、誰が滑るだろう。 また絶対に割れないとわかっていたら、他人が失墜することのたのしみは失われるだろう。 問題は自分が滑っているあいだ、割れるか割れないかというだけのことであり、本多の滑走時間はすでに限られていた。

老後のことをリアルに考え始めている今の自分の心境とリンクするところがあります。

それから、労働ではない利子や配当などでお金が増えていく事についても

そのとき人は、利子を生んでゆく時間と、自分の生きてゆく時間との、性質のちがいに気づく。

労働することが馬鹿らしくなるくらい、社会は不平等だし、税金や社会保障は高額だけれども、若いうちから投資だけでお金を稼ぐことは何か違うとは思います。

「お金に色はない」とは言いますが、時間は、濃度や早さや性質の種類や・・・違いはあるのかもしれません。

口臭は嫌いの言い訳

好きとか嫌いに理由はないように思っています。

国語の試験勉強で顔が近づくとき、何度か古沢の口臭に気づいたことがあるのに、それが格別嫌悪の理由にはならずにすんでいたのが、今それがはっきり嫌悪の根拠になったのである。

実はほとんどの外見とか目に見える事象といった特徴は好き嫌いの原因にはならなくて、言い訳になる。

好き嫌いって、考え方とか存在自体とか、どうしようもないところにあるのではないでしょうか。嫌なものは嫌なんですよね。

嫌な事をされて、「この人嫌だな」という思いが積もり積もって我慢できなくなって、やることなす事嫌いになってしまうのです。

老人の嫌なところ

自分が老人に近づくにつれて、老人の嫌なところが目につくようになりました。

その醜悪で無力な肉体、その無力を補う冗々しい無用のお喋り、同じことを五へんも言ううるさい繰り返し、繰り返すごとに自分の言葉に苛立たしい情熱をこめてくるオートマティズム、 その尊大、その卑屈、その吝嗇、しかもいたわるに由ない体をいたわり、たえず死を恐れている怯惰のいやらしさ、何もかも怒している素振、しみだらけの手、尺取虫のような歩き方、 一つ一つの表情に見られる厚かましい念押しと懇願との混ざり合い、・・・そのすべてが透は嫌いだった。しかも日本中は老人だらけだった。

読んでいて嫌悪感を感じるとともに、やってしまいがちだなぁという不安も大きくなり、自分に向かって言われているようにも思えてつらくなってきます。

ですが、なるべく嫌な老人にならないように、自戒の念を込めて、覚えておきたいです。

恥と罪との人生

ラストシーン、本多が月修寺門跡である聡子が接見に現れてくれるのか待っているシーンにて。

この恥と罪と死を負うてでなくては、ここへ上る勇気が生じなかったというのが本当である。

人生には人それぞれのタイミングがあって、簡単に見える行動も、その人に取っては必要な難しい手順があったりもする。

人から見たら無駄に思えることも、自分にとっても必要な事。

この長い物語の結末や書かれている事など、言葉にすると、当たり前のこととして知っている事のように感じるが、読んだからこそ、違う重みをもって改めて心の中に落ちて来た感じがします。


「天人五衰 豊饒の海 四」三島由紀夫



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