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「奔馬 豊饒の海 二」三島由紀夫

作成



昔の政治思想や裁判物は少々苦手分野で、理解できない部分が多いのだけれど、読書や色々なところへ出かけたりして見聞きしたことによって、日本の歴史や古い文学全般の知識が少しは増えてきた影響か、思っていたよりも楽しく読めました。

そして、分厚目の本の厚さで、手にした際に、読めるかな?と躊躇がよぎったものの、一週間もたたずに読破できたことは意外でした。

長編小説って、読み始める前は少し気合が必要ですが、流れに乗ると止まらない没入感強めなところがあるのかもしれません。

全体的な感想としては、それぞれの人の思惑と裏切りが複雑に交差する事と、国や自分があるべき姿の為へのよかれと思う思想の複雑さ、そして、一途で盲目的になりすぎる純粋が心に痛みを与えてきた感じです。

日常の何気ない描写があいかわらず美しく、それに惑わされそうになるるけれど、よく考えてみると、それらは誰にでもありどこにでもあるようなありふれた事で、 それなのにいつの間にか、思想が純度を増して角度が定まり、運命に導かれるようにどうしようもなくなってしまう。
まるで三島由紀夫本人の人生みたいに思えてくるけれど、現実の世界も頭の中の世界もはもっと広い事を忘れないように、物語に没頭しすぎないようにしなくちゃいけないな…なんて思ってしまいました。そのくらい、引き込まれてしまいます。

懐かしむことに意味はない

人は共通の思い出について、一時間がほどは、熱狂的に話し合うことが出来る。しかしそれは会話ではない。 孤立していた懐旧の情が、自分を分かつことのできる相手を見出して、永い間夢見ていた独白をはじめるのだ。 おのがじし独白がつづけられて、しばらくすると、急に自分たちは語り合うべき何ものも持たぬことに気づく。

丁度、同窓会のお誘いがあって「行きたくないなぁ」と思っていたところで、タイムリーにこれだなと感じた考え方でした。

過去を懐かしむことは一瞬の楽しさの様なものがある事は確かですが、なくてもどうでもいい。わざわざ時間とお金をかけてそれを享受したいとも思わない。

今が大事だし、他にやるべき事考えるべき事は山ほどあるし、それでいいと再確認しました。

若さの美しさ

私も、「若いっていいな~。若いって美しいな~。」と思う事が増えました。それはまさにこんな感じです。

この年齢になって、私は、人間と情熱との間の齟齬がだんだん目につかなくなった。 若い保身の慮りから、そういうあら探しをする必要がかつてはあったのが、今はなくなったというだけではなく、他人に宿る情熱の、その人との不調和が、 むかしは大きな笑うべき傷に思われたのが、今では許しうる瑕瑾になった。 神経質に他人の蹉跌に感応し、それによって自分も傷つくことを恐れるという、かよわい若さがなくなったせいかもしれない。 それだけに又、一方では、美しさの危険よりも危険の美しさが鮮明に心に映り、あらゆる若さが滑稽に見えなくなってくる。

単なる美しさとは違うし、単純に羨ましいだけではなく、若いが故の美しさってありますね。

飽きる理由

勲が剣道に飽きた理由はこんな風に描かれていました。

合宿に参加しなかったのは、ただ竹刀に飽いたからである。 竹刀の勝利があまり容易であることに飽き、竹刀が剣の単なる象徴にすぎぬことに飽き、又、竹刀が何ら「本物の危険」を伴わぬことに飽きたのである。

飽きって突然やってきます。そうなってしまったらもう後もどりできない怖さすらあります。

才能がないとか上手くできなくて悔しくてそれに夢中になってる内は、実は最も幸せな時間なのかもしれません。

しかしまた、飽きとは物事の見方が間違っていたり、人生が良くない方向へ進んでしまっている警告の場合もありそうです。

外見は人をあらわす

同士集めで沢山の人に出遭った勲が、人物とその外見の関係について感じた事が的を得ていて面白かったです。

寡黙と素朴と明快な笑顔は、多くの場合、信頼のおける性格と、敢意の気性と、それから死を軽んずる意気とのあらわれであり、 弁舌、大言壮語、皮肉な微笑などはしばしば怯惰をあらわしていた。 蒼白や病身は、或る場合には、人を凌ぐ狂おしい精力の源泉だった。概して、肥った男は臆病でいながら慎重を欠き、 痩せて論理的な男は直観を欠いていた。顔や外見が実に多くのことを語るのに勲は気づいた。

悪口という意味ではなく、本当に、外見はその人をよくあらわすものだと共感します。

私は時々、皮肉を言いたくなってしまう事がありますが、そういう時は「怖い」んですよね。

どうだ?で命を差し出す結束

人と人との強いつながりって、契約ではないんですよね。

勲は同士を選ぶための会見では、何一つ自分の企図を語らず、何一つ約束をしなかった。 この若者は入れてやろうと思ったとき、勲はそれまでことさら作っていた厳しい顔を和らげて、相手の目を親しげにのぞき込んで、ただ一言、こう言いかけるだけであった。
「どうだ。一緒にやるか」

こういう場合はこうで・・・という細かい規約を掲げるのは、会社のルール(就業規則)みたいなもので、入社の合否は面接で言った事が実際はどうであれ会社に忠誠心をもって従うかどうかという、現代の社畜社会も似たようなものですね。

同士を集めるなんて言うと聞こえはいいけれど、人に忠誠心を持たせてコントロールするやり方って、こういうやつだよなぁと。勲がどこまで分かってやっていたのか微妙ですが、策士な感じで、こういうのになびいてしまう人っているよなぁと思ってしまいました。結末を考えると、こういうのってなんか、あんまりよくない要素を感じます。

人生で何事かを成しえたか?どう生きるのが正解か?

中年にもなると、誰もが自分の存在ややってきたことについて考えるものでしょう。

本多は、わが身をふりかえると、たしかに自分は意思を持った人間だが、その意思で、歴史と云わぬまでも、社会の何かを変え、そこに何かを成就したか、考えて疑いなきを得ない。 判決によって人の命を左右したことは何度かある。そのときは重大な決定に思われるが、時が経ってみれば、もともと死すべきであった人間の運命を手助けしただけで、 その死は歴史の一点に具合よく納まり、やがて埋もれる。
~中略~
 一方、現代の周辺をつぶさに見廻しても、清顕という一人の青年、あの情熱、あの死、あの美しい生涯が与えた影響は、どこにも残っていない。
~中略~
歴史のなかで完全に影を没した清顕の中にこそ、本多にまさる歴史関与の本質を認めざるをえなくなっていたからだ。

偉くなったり有名になったりすればいいものでもないし、長生きすればいいってものでもない。

何をなすもなさぬも、残すも残さないも、自分とは違うほうを羨む気持ちは芽生え、正解は分からないもので、自分で納得するしかないのでしょう。

美と純粋と正義

勲が起こそうとした行動は、同志を集めて美と純粋と正義を貫く事でした。

自分たちの行為の美と純粋と正義を守るには

私は、自分にとって真善美とは何かを明確にしたいと思っていて、美しいとは飾らずありのままで自然である事、真実とはピュアで純粋なもの、そして自分にとっての正義は善いことであるという風になんとなく思っています。

まだはっきりと強固な価値観にはなっていないけれど、勲の思想と通じるところはあるように思い、美と純粋と正義に固執して追求しすぎる事の危うさを知りました。

自分にとって良いと思う事を大事にはしたいけれど、それは、危ないことだったり、誰かに迷惑をかけることだったり、人類の英知的に避けた方がよいと多くの人が考えている事に傾く事につながる事だったりするのかもしれません。

法律やルールと人と協力してなす事と裏切り

かつての治安警察法で結社が禁じられていました。

しかし私腹を肥やすための政治結社や、利のためにする営利法人なら、いくら作ってもよいのだった。 権力はどんな腐敗よりも純粋を怖れる性質があった。野蛮人が病気よりも医薬を怖れるように。

どんな法律にもおかしなところがあって、やっていいことと悪いことの矛盾は多々あります。また、話は変わりますが…

人間は或る程度以上に心を近づけ、心を一にしようとすると、そのつかのまの幻想のあとには必ず反作用が起って、 反作用は単なる離反にとどまらず、すべてを瓦解へみちびく裏切りを呼ばずには措かぬのだろうか? どこか確固たる人間性の不文律があって、人間同士の盟約は禁じられているのだろうか?

会社を作るとか、グループ活動とか、夫婦や友達とか、心を近づかせて思いを一つにして人と協力して何かをしようとすると、一人ではできない楽しい経験ができます。

でもいずれ、熱は冷め各自の思いは変化し、合っていたものは合わなくなり、離れる者は現れ、時には崩壊や争いも生じます。それは、人間の性なのでしょうか?それでもなお、人は集いたがりつながることを信じたいと願ってしまうのでしょうか。

愛と憎しみ

愛を知らないから、本当の憎しみを知らないとは、よくいわれます。

勲は「決して憎くて殺すのではない」と言っていた。それは純粋な観念の犯罪だった。 しかし勲が憎しみを知らなかったということは、とりもなおさず、彼が誰をも愛したことがないという事を意味していた。

なるほどと思いたくなるけれど、愛と憎しみは対立関係にあるものではない。「愛の反対は無関心」という考えもあって、そっちがしっくりするという面もあると私は考えています。

とはいえ、愛と憎しみには近しい部分も感じるし、愛する故に心底憎いという感情は分からなくもない。愛とは与えるもので、尽きるものではないとも思います。それでは憎しみとは?うーん難しい(笑)。愛も憎しみも、真善美や純粋性と大きくかかわるものでもあるでしょう。愛とか憎しみという感情についての理解は深堀してみたいテーマの一つです。


「奔馬 豊饒の海 二」三島由紀夫



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