「途上」「少年」「恐怖」谷崎潤一郎

作成 2014年2月26日 （2024年3月29日更新）

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短編作品を読んだので、簡単に感想をまとめてみました。

「途上」の感想

昼ドラの不人気回にありそうな三流のミステリーという感じで、もはやミステリーとか推理小説にも及ばない作品といいますか…私としては期待外れで、おやっ？という感じでした。

ですが、おかげで独特の美意識を追求するお決まりの谷崎作品のすばらしさがよく分かったというのが思いがけない収穫です。

文豪であっても向き不向きや得意不得意があるのだから、凡人の自分こそ、自分に合うものや得意な事をやるべきでしょう。人からいいねと褒められることがあればその方向で頑張ってみるのが、やっぱり正解の一つだと思います。

「少年」の感想

まったく理解できない世界というか、感情というか、残念ながら全然楽しめなくて、かなり飛ばし読みをしてしまいました。そういう作品もありますよね。

終始意味不明なのですが、なぜか、谷崎氏がとても嬉しそうにこの文章を書いているのだろうなという形は、ありありと思い浮かびまして、彼の独特の美意識や感性の原点的なものが書かれているのかもしれません。

「恐怖」の感想

閉所恐怖症とかパニック障害の類のことが書かれている物語でした。

昔の鉄道って、そんなに閉そく感はなさそうですが、現代と同じような精神障害に悩む人もいたことが意外です。

まぁ今ほどそういう症状について一般的に広く認知されてはいないでしょうから、恐ろしい奇病だとか、そんなことがあるのか！といった斬新な物語として読者に受け止められたのかもしれません。

作品としては、やはり美の追求的な定番の方が圧倒的によいと思いますが、「電車でパニックった日のvlog」みたいな感じでさくッと楽しめました。

とはいえ、電車もストレスだけど、徴兵検査とは現代に置き換えるなら嫌な仕事とかなのでしょうか…、今も昔も、逃げだしたくなるような辛いことが多い世の中に変わりはなさそうです。

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