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「秘密」谷崎潤一郎

作成



映画化されている谷崎作品として有名なのは、「細雪」「春琴抄」「刺青」「痴人の愛」などですが、私はこの「秘密」の世界観が好みの感じで、この作品こそ映像化したら美しいのではないかな?と思いました。

色んな秘密

秘密の場所・秘密の行動・秘密の関係・・・。物語が「秘密の場所」を舞台にして始まったので、「タイトルの秘密とはこのことか」と思っていたら、二重三重に秘密が重なり、さすがだなと思わせるストーリー展開でした。

人には言えないので慎重に隠している秘密や、なるべく言いたくないから聞かれるまでは黙っていようという程度の秘密の一つや二つは誰にだってあるでしょう。

秘密の範囲って意外と広いものだろうと想像していまして、場所だけ秘密とか、時間だけは秘密とか、上手い事隠して、事実を都合よく捻じ曲げてる秘密は沢山あるだろうと思ったら、この世の中の事実だと思っている事の多くが張りぼてであるというパラレルワールドを感じました。

秘密の魅力

ベタな落ちだったけれども、秘密って秘密であるがゆえに興味をそそられるものなんですよね。

秘密の内容を知ってしまったら、その魅力はなくなってしまいます。それは、もう決して取り戻せない一方通行のものです。

そして、秘密の内容とは、秘密にするほど驚くようなものではない事も多くて、つまり、秘密にするという行為自体に特別感があるのです。

最初から隠さずにあけすけにしていれば、知りたくなるような事ですらなく、別れの原因になるような事でもなく、そもそも魅力にすら思わなかった事なのかもしれません。

このことを熟知して「秘密は使いよう」だと使いこなせるのが、いい女だったり、粋な男女遊びだったりするのでしょうか…

谷崎潤一郎の「陰影礼賛」に書かれていたような影の美しさと秘密の魅力には相似性を感じます。

秘密の場所の描写

この物語の世界観のすきなところは、置き忘れられて古くなって見向きもされなくなったものの中に、魅力的な秘密が人知れず埋もれていそうな妖艶さや不思議さでして、数々のノスタルジックな描写が印象に残りました。たとえばこんなところです。

天気の好い日、きらきらとした真昼の光線が一杯に障子へあたる時の室内は、目の覚めるような壮観を呈した。 絢爛な色彩の古画の諸仏、羅漢、比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、象、獅子などが四壁の紙幅の内から、 ゆたかな光の中に泳ぎ出す。畳の上に投げ出された無数の書物からは、惨殺、麻酔、麻薬、妖女、宗教…種種雑多の傀儡が、香の煙に溶け込んで、 朦朧と立ち込める中に、二畳ばかりの緋毛氈を敷き、どんよりとした蛮人のような瞳を据えて、寝ころんだ儘、私は毎日毎日幻覚を胸に描いた。

秘密は所詮、幻覚なのかも

秘密には秘密にされているからこその魅力であって、やはり、肉体感覚を伴う現実的な魅力にはかないません。

私の心はだんだん「秘密」などと云う手ぬるい淡い快感に満足しなくなって、もッと色彩の濃い、血だらけな快楽を求めるように傾いて行った。

谷崎氏のお好きなのは秘密よりもこっちですよねと、すっきりと収まった読了感に落ち着きました。



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