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「それから」夏目漱石

作成



科学や文明は進化しているように見えるけど、人間がやっている事って100年たってもたいして進化していないみたいです。
くだらない事に悩み、くだらない事を面白がり、あまり考えないで日々を過ごし、気ままに流されて人生の時間をすりつぶしている。
周囲が変わって周りが変わっても、結局人間は、そういう風にしか生きられないのかもしれない。
そう思ったら、好きに生きればいいやと思えて、なんだか安心しました。

この本に書かれているテーマは、「働いて生きていくという仕事観と冷め行く夫婦の愛とその隙間にできた新たな愛」といったところでしょうか。
主人公の代助はお金持ちの次男で、今で言うところのニート。大学卒業後に就職をせずに親からの支援をもらってのんきに暮らしています。現代でもそういう人っていますよね。
実家がお金持ちでなくても、若くして起業や投資で働かなくていい資産を築いたとか、働かずに生きる方法のバリエーションが増えているという現代ならではの事情はあるにせよ、「こういう生き方って昔からあるんだなぁ」と、そういった状況は、違和感なく呑み込めました。

物語の文体は、夏目漱石の初期三部作の2番目ということで、まだ古い表現が多く、ちょっと読みにくさがありました。
とはいえ、風景や自然の描写が素晴らしくて、日本語って美しいなぁと惚れ惚れします。
きっと、これらの表現は自然と心の底から湧き出てくるもので、そこが天才たる所以の一つなのでしょう。好きな表現をいくつか挙げるとこんな感じです。

其日は乾いた風が朗らかな天を吹いて、蒼いものが眼に映る、常よりは暑い天気であった。
青い木の葉が悉く濡れて、静かな湿り気が、硝子越しに代助の頭に吹き込んで来た。世の中の浮いてゐるものは残らず大地の上に落ち付いた様に見えた。

こんな文章が書けたらカッコイイ。
世界がこんな風に見えて、こんな風に感じられたら、人生がもっともっと豊かになりそうです。

読書を続けると感受性が豊かになると聞きますが、こういう素敵な文章に出会えると、まず心が麗しくなっていきます。
「この表現いいなぁ」と思うたびに、感情が動かされて反応し、ちょっとずつ浄化される様な気がします。

この数年、いや数十年。私はビジネス書とか自己啓発本を読むことが多かったのですが、そういうのじゃなくて、自分の興味関心の赴くまま、ただ読みたいからという欲望に任せてする読書の良さを、歳を重ねた今、改めて感じています。

さて、この本の一つ目のテーマである仕事観について、ハッとさせられたり共感したりしたのは以下です。

仕事で失敗した平岡に対して
「詰り、食ふ為に働くからでせう」
さらに
「夫れ見給へ。食ふ方が目的で働く方が方便なら、食ひ易い様に、働き方を合せて行くのが当然だろう」
さらに
さうすると、君の様な身分のものでなくつちや、神聖の労力は出来ない訳だ。ぢや益益遣る義務がある。

働かなくていい資産ができてからこそ、本当の仕事ができるのかもしれません。
結局、死ぬまで仕事をするべきか?仕事をしたいのか?
これも永遠のテーマですね。

それから、仕事とはちょっと離れるけれど、生活観とか社会観として、「個人化はこの頃から既に始まっていたんだなぁ」と感じたのがこちらです。
大地は自然に続いてゐるけれども、其上に家を建てたら、忽ち切れ切れになつて仕舞つた。家の中にゐる人間も亦切れ切れになつて仕舞つた。 文明は我等をして孤立せしむるものだと、代助は解釈した。
そして、仕事観と生き方を合わせた様なこの考え方およびその端的な表現が、いい感じで気に入りました。
もし馬鈴薯(ポテトー)が金剛石(ダイヤモンド)より大切になったら、人間はもう駄目であると、代助は平生から考へてゐた。


また、生き方とか生きる目的として、なるほどなぁと思ったのはこちら。シンプルでいい。
人間の目的は、生まれた本人が、本人自身に作ったものでなければならない。
~中略~
此根本主義から出立した代助は、自己本来の活動を、自己本来の目的としてゐた。歩きたいから歩く。すると歩くのが目的になる。

そして、この本の二つ目のテーマである結婚観について、気になったところをピックアップしておきます。

あらゆる意味の結婚が、都会人士には、不幸を持ち来すものと断定した。其原因を云えば、都会は人間の展覧会に過ぎないからであった。

人間の展覧会って表現から、インスタに夢中になっている現代人が思い浮かびました。

僕は是で社会的に罪を犯したも同じ事です。然し僕はさう生まれて来た人間なのだから、罪を犯す方が、僕には自然なのです。 世間に罪を得ても、貴方の前に懺悔する事が出来れば、夫で沢山なんです。是程嬉しい事はないと思ってゐるんです

折しも、某有名女優の不倫ニュースが話題となっている今、生物としての人間の自然な心の情愛が、人間が後から作った結婚という制度に合わない面があるということをそろそろ認めた方がいいのかもしれません。

とはいえ、不倫や離婚オッケーで、みんな嫌ならどんどん別れましょうというのではなく、人と関わって生きていくからには思いやりは大切で、付き合い方や別れ方にその人の人間性が現れます。

誰かを傷つけることはなるべく避けた方がいいし、何かあればすぐに別れたり、隠れて欺いて不倫をする人を信用する事って難しいのではないでしょうか。

代助が抱いた情愛は、どういう形にするのが一番の幸せなのか?
美千代は、どうすることが一番の幸せなのか?

すごく難しい問題で、人によって答えは違うだろうし、複雑すぎて、すべての人がハッピーになれる答えはないんじゃないかなと思われるところがとても切ないです。

「それから」夏目漱石



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