「日本という国 (よりみちパン!セ)」小熊 英二

作成 2014年1月27日 （2024年3月29日更新）

日本の近代化から終戦後くらいの政治や思想についてまとめて振り返るのにぴったりな本。

図書館の児童書コーナーに置かれていたので、さくっとその場で読んでみました。

サブ教科書として最適！大人も読んでおきたい

この手の本っていくつもあるかとは思いますが、重要なところを簡潔にまとめてあり、教科書とは違った切り口やトーンで書かれているので、合わせて読んでおくとよい学びになりそうです。

文字も大きいし読み仮名もふってあり、子供向けの本ではありますが、中学生などが読んで深く理解するのは難しいかもしれません。

おそらく、大卒の大人でもこの本に書かれている内容な知らない人は多いでしょう。

そういう私も、最近日本の近代史や文学などに触れているので「そういえば学校で習ったな…」と思い出した内容も少なくないですし、ほとんど忘れていたり、よく分かっていなかった事もあります。

日本の態度や方針ってころころ変わっているし、諸外国との関係性も複雑だし、真相がどうであったか謎な部分もありますし、自国の事ながら分かっていない事って多いです。

大人になって改めて学びなおしてみると「そういうことだったのか」とやっと理解できる事もあるので、大人こそ、読んでおきたい内容だと思いました。

憲法9条について

憲法9条は戦争の放棄に関する項目で内容は以下です。

第九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

「戦争をしない」という内容はよしとして、憲法9条2項が意見の分かれているところです。

この部分は、「自衛戦争を遂行するための戦力を含めた一切の戦力を放棄する」と解釈することができるのか？自衛隊の存在はどうなのか？核を持たなくてよいのか？などがよくきかれる争点となっています。

ちなみに、作家の三島由紀夫は、憲法9条の改正をして自衛隊が日本を守る国軍となることを求めた後に自決しました。（「国防は国民の名誉ある権利であり、徴兵制にすると汚れた義務になる」と言って徴兵制には反対していました。）

三島は自衛隊の存在が違憲(ダブルスタンダード)であることを問題視してアメリカの影響から脱却した自主憲法の制定をするべきだと訴えており、単なる9条改正をするのでは「アメリカの思う壺」（アメリカはソ連との冷戦などを経て、日本にも軍備強化をしてほしいと思う様に変わってきました。）だとも言っています。

一方、憲法9条の改正に反対している団体としては作家の大江健三郎や加藤周一や瀬戸内寂聴らの支持している「九条の会」があります。

時代が変わって終戦からの時間もだいぶ経過し、国際情勢も変化してきました。

自分はどう思うのか？憲法9条についての自分の意見を、今一度明らかにしておきたいと思いました。

基地問題について

日本における負担を少しでも減らす為、沖縄に在日米軍関連施設の75%程が集められているという事実。

在日米軍施設を維持するための費用の多くを日本が負担しているという事実。

何のために米軍は日本にいるのか？在日米軍は日本に何をしてくれるのか？

日本に米軍記事がある事が当たり前になってしまっていますが、よく知っておく事が必要です。国際情勢やアメリカが世界で行っている戦争についての状況の理解にも大いに関連があります。

アジア諸国との関係と靖国神社の存在

アジア諸国への日本の戦争の賠償責任は十分になされているのでしょうか？

戦争を知らない世代も多くなった今、親日国として日本のことを好きでいてくれる人々が沢山いることはとてもありがたいです。

ですが、歴史・行った事はなかった事にはなりません。背負うべき事・とるべき態度・やるべき事があり、そのためには過去について正しく知っておくことが欠かせません。

靖国神社参拝にはどのような意味があるのか？外国にとってそれはどのような事を意味するのか？

何も知らずに、ただのお花見スポットだと思っているのでは、恥ずかしいです。

日本という国 (よりみちパン!セ)

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