「仮面の告白」三島由紀夫
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少し前に読んだ「命売ります」がよかったので、三島作品をちゃんと読んでみようと思い、まずはデビュー作を手に取ってみることにしました。
多分、若い頃にも読もうとしたことがある気がしますが、三島由紀夫という人物に先入観として嫌悪感があったことと男性の同性愛がテーマということで興味がないなぁと思っていました。
ところが、思いがけず一気読み(2日間に分けてですが)してしまいました。
しばらく読書習慣を続けているので、少しは読書筋と読むための集中力が育ってきているのかもと嬉しくなっているところです。ということで、感想をまとめてみました。
人間失格 仮面編
三島由紀夫の文章力とか企画構成力とか知識量とかはすごいです。さすがノーベル賞候補に複数回選ばれているだけはあるし、読むのが楽しくて、読んだ後も何か心に残るものがあります。
この「仮面の告白」も、多くの人が感想や批評を表していて海外からの評価もあるし、賛否両論巻き起こしているセンセーショナルな作品です。つまり、とても素晴らしいし読んでよかったと思っています。
そして、これを踏まえたうえで、読了後約1日じっくりと余韻を味わったうえで思うのは、「クズ男すぎる!」という事。
テーマが深いし文章がキレイなので騙されそうにいなりますが、やっている事は中二病そのものだったり、どういった性癖や性欲の強さの持ち主だとしても浮気性という性質の悪さだったり、下衆と言われる類の事ではないでしょうか。
とはいえ、それを非難する気にはなれません。人間ってみんなそうだし、みんなクズだし、みんな「自分は人と違うんじゃないか」と不安だったり、「自分は特別」と思い込んでいたりするものです。
もちろん、エリートで優秀な三島先生は、普通の人とは違う部分が大いにあるけれど、みんなと同じクズなところやおちゃめなところもたくさんあってとても人間らしい人だと共感を覚えました。自分のことって、「好きだけど嫌いだけど好き」そんなもんだよと、中年おばさんは息子の様な青年を人生の先輩として励ましたい気分です。
そして、この作品について沢山の人があーだこーだいうのは、共感するところがあるからこそだと思いました。
「仮面の告白」が出版されたのは1949年で、その前年には太宰治のベストセラー「人間失格」が出版されています。
太宰治は人気も高いし女性からもモテています。一方、三島由紀夫は一部の人(男性多し)からは高い支持を得ていますがモテるかというと微妙なところで、仮面の告白も人気本という感じではありません。
キャラクターとか切り口の違い等は色々ありますが、どちらもクズ男っぷりが書かれた名作という共通項で結ばれるのではないでしょうか。「人間失格 仮面編」という言い方もできそうです。
まぁ色々と思うところはあり、悪い意味ばかりではないことは断言しておきますが、「ほんとに男ってクズばかり!」ですね。
死が身近にあった時代
「仮面の告白」は、フィクションではあるものの三島の自伝的作品と言われています。ですが、物語は戦時中で、クライマックスは敗戦の影響も受けて訪れます。
戦争の影響をもろに受け、死が身近にあった時代だからこそ、生きることに真剣で、人々は深く強く考えて日々を過ごしていたのだろうと思いました。
私が生きている今の時代のゆるくて適当で自分の目先の利益を追いかけるくらいしかしない浅はかな思考とは大きくかけ離れているので、どちらがいいとか悪いとかの単純な問題ではなく、その違いについて、生き方や考え方には大きな振れ幅がある事を忘れないようにしたいです。
分かっちゃいるけど
主人公は自分自身を駄目な人間だと思っているけれどもどうにもならなかったり優柔不断だったりと上手く行動できません。その様子を頭の中のもう一人の自分が責めている場面
すると又別の暗い執拗な声が私を揶揄した。その声にはほとんど熱っぽい誠実さがあり、私の与り知らない人間的な味わいがあった。 声はこんな風に矢継ぎ早にたたみかけた。ー愛かね?それもよかろう。しかしお前は女に対して欲望があるのかね?
複数の自分がいることは誰もが感じるところだけれど、こんな風に冷静で崇高で的確に痛いところをついてくる別人格を持てたらいいな、なんて思ってしまいました。
要は、この精神の分断と葛藤を文学的に表現しているのがこの作品です。
エンディングがすごい
この物語は4章に分かれていて、最終章のボリュームは短めながら話の展開が濃厚なのですが、エンディングのシーンは異色ながら雰囲気があって好きです。そして、
この瞬間、私のなかで何かが残酷な力で二つに引き裂かれた。雷が落ちて生木が引き裂かれるように。私が今まで精魂込めて積み重ねて来た建築物がいたましく崩れ落ちる音を私は聴いた。
この意味深げでかっこいい事を言っているようなフレーズと共にやっている行動が下衆過ぎてすごいです。
訳が分からないまま剛速球を投げつけられて立ち去られる様な・・・考えさせられる大きな問いを提示されてばっさりと終わる感じが、なんとも言えない気持ちをもたらしました。
自分の中にある普遍性や美意識や趣味嗜好、何を大事にして生きていくのかなど、改めて考えてみようと思わせてくれる名作でした。
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