「寝ながら学べる構造主義」内田樹
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構造主義とは、「人間は自分の自由に思考しているのではなく、属している民族・国家や使う言語などの構造の影響を受けている」という現代思想の事。
哲学関係のおすすめの本として紹介されていたので読んでみました。
目次
哲学の流れにおける構造主義
本書に入る前に、哲学思想の流れと代表的な思想についての自分なりにまとめてみると…
※本質を追求していたソクラテスらの古代ギリシャ哲学の後、「善とは何か?」などの本質的で普遍的なものではなく、「どう生きるのが幸せか?」等の個人的なものを追求していったのが実存主義で、「人間は自由に自分の意志で生きていける」という実存主義の考え方に対するのが、「人間は社会や時代の影響を受けていて自由ではない」という構造主義の考え方。そして現代は、1960年後半~1970年後半頃までに誕生した様々な主義思想の総称であるポスト構造主義時代にある。
※実存主義の主な哲学者:キルケゴール(名言「死に至る病とは絶望のことである」)・ニーチェ(名言「神は死んだ」超人思想)・ハイデガー(主著「存在と時間」)・サルトル(パートナーはボーボワール)
※構造主義の主な哲学者:ソシュール(近代言語学の父)・レヴィ ストロース(異文化の背後にある共通思想を発見した社会人類学者)・フーコー(振り子のフーコーは別人で知と権力や規律や正常異常などについて提唱)
他人の立場に立って考える視点を持つ人が増えたのは最近
分かり易い例えとして、戦争時に、敵対する「A国から見える景色」と「B国から見える景色」は大きく違いますが、そのような見方をできる人が増えたのがごく最近であるということに驚きました。
そのような考え方をする人、あるいはそのような考え方を受け容れられる人が国民の半数以上に達して「常識」となったのは、ほんのこの二十年の事です。
この本の発売が2002年なのでその時点で20年という事ではありますが、他人の立場に立って考えられない人の多さを考えると、無意識で構造から影響を受けている事の根深さとそういった人の多さに納得します。
ソシュールと構造主義
言葉は、その文化において重要なものほど種類が多かったりします。(ex.日本語では米・ご飯・稲と複数あるが英語ではライスのみ)
当たり前に使っている言葉には文化の影響が大きく表れていているので、そういった言葉を使って思考する事は当然その影響を受けているということですね。
私たちが「心」とか「内面」とか「意識」とか名づけているものは、極論すれば、言語を運用した結果、事後的に得られた言語記号の効果だとさえ言えるかも知れません。
私の気持ちは…とか、私の考えは…と、さも自分独自の自分がオリジナルで生み出した尊い感情かのごとく思っていましたが、そういったものは単にどこかで聞いたりして記憶に残っている“構造を影響をバリバリに受けた言葉”にすぎないと思ったら、なんだか自分の存在自体が空虚なものに思てきてしまいました。
フーコーと構造主義
古いクリスマスソングを一括りに昔の曲とする分別の仕方や、特定の人を狂人として差別してきた権力の歴史、難波歩きの矯正や体育座りの強要などの実例から、歴史の認識のゆがみと国家や権力から様々な影響を受けていることを実感しました。
ここにいるこの「私」は、いったいどのような「前史」を経由して形成されてきたのか。それを問うのがフーコーの批判性の構造ですが、実はそれは「自分自身の肉眼で自分の後頭部を見たい」というのにも似た不可能な望みなのです。
最近、学び直し的なことをしていて、自分がどのような歪んだフィルターを持ってしまっているかについて興味が深まってきているところだったのですが、それを知ることはとても難しい事の様です。
ですが、知ろうとすることに大きな意義がありそうだと改めて感じました。
バルトと構造主義
バルトが考えた言葉を規制しているものは、「ラング」「スティル」「エクリチュール」の3つとのことで、ラングとは私の場合は日本語(母国語)。スティルは文体、エクリチュールとは言葉遣いの事を言います。
例えば、自分のことを俺という人、僕という人にはそれぞれの言葉づかいがあり、それに合った行動や思考を行うといった感じです。おじさんのエクリチュールや営業マンのエクリチュールなどがあるということです。
私たちは「エクリチュールの囚人」です。バルトが言うとおり、「エクリチュールが自由であるのは、ただ選択の行為においてのみであり、ひとたび持続したときには、エクリチュールはもはや自由ではなくなっている」のです。」
これは怖いなと思いました。ほとんど意識したことがなかったし、逃れることが難しそうなのはよくわかりました。
でも、バルトが行きついた幻滅の先に日本文化の俳句が挙げられていたことは嬉しく思いました。俳句は無駄を極限までそぎ落としたミニマルの象徴でもあるし、美しさも感じます。
レヴィ=ストロースと構造主義
人間が他社と共生してゆくためには、時代と場所を問わず、あらゆる集団に妥当とするルールがあります。それは、「人間社会は同じ状態にあり続けることができない」と 「私たちが欲するものは、まず他者に与えなければならない」という二つのルールです。
私たちは、無意識にこのルールに従って生きてきているとのこと。そして
人間は生まれた時から「人間である」のではなく、ある社会的規範を受け容れることで「人間になる」
言っている事は分かります。だとすると、社会の規範を受け容れられないと感じる自分は駄目人間だと思ってしまうのもこの影響かも知れません。
でも、こんな駄目人間の自分が生きていける今の世の中は、何か新しい始まりなのかもと思ってしまいました。
ラカンと構造主義
あらゆる「自分についての物語」がそうであるように、非分析者の語りは、断片的な真実を含んではいますが、本質的には「作り話」に他なりません。
自分自身の過去の記憶について考えてみれば、すぐに分かることですが、私たちはどれほど手がかりをたくさん示されても、どれほど仮借なく自己分析の刃を自分に突き立てても、 決して厳密な意味で「過去の真実」そのものに到達することはできません。
過去の記憶なんて曖昧なもので、もはや存在すらしていない様なものなのですね。
結局、構造主義の考え方によれば、今の自分なんて構造の影響を受けまくっているし、自分が生きてきた過去もないようなもの。
人間の存在ってなんなのか?自分の意志で自分らしく生きるとは何なのか?考えさせられます。
本質的な意味で自分の力で何かをする事なんてできていないのかもしれませんが、構造主義という考え方を知ったからこそ、その影響を踏まえて、環境選びとか外的影響を最小限にするとかその影響がある事を理解はするとか、行動の仕方は変えられると思いたいです。
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