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映画&ドラマ「東京物語」小津安二郎監督作品/出演:笠智衆・原節子

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1953年(昭和28年)公開、小津安二郎監督で原節子がヒロインの紀子を演じる名作映画です。

ヒロイン紀子を松たか子が演じた2002年のリメイクドラマも併せて視聴しました。

レトロな映像の美しさ

昔の生活風景を見ているだけでも美しくて楽しめます。

古い道具や家具やインテリア、街並み、人々の服装など、今見ても、今見るからこそお洒落に見えます。

現代と違う部分と共通している部分が感じられるので、長く続いている良さが見えやすいのでしょう。

それから、古い東京の街並みも美しいですが、尾道の港町の風景も違った美しさがって、昔と今、都会と田舎それぞれのよさを感じました。

自分勝手な人たち

近代化と共に人々は、生まれた家族の事よりも自分自身や自分の作った家族の事で忙しくなっていきました。

その変化を当たり前でしょうがないことだと気にもとめない種類の人と、嫌悪感を感じたり、そうはなりたくないとふるまいつつもだんだんそうなっていくだろうと思っている種類の人がいます。

人間がどんどん自分勝手になり、欲望におぼれ、くだらない事の中毒になったり、どうでもいい付き合いの行動を優先したりすることは、今も変わらずに続いていて、むしろ悪化しています。

その事に気づいている人はどのくらいいるのでしょうか?生活の見た目や便利さは驚くほどに変化しましたが、この本質は全然変わっていないのかもしれません。

なるべくよくあろうとする儚い美しさと、人間の醜い部分を知りつつもどうしようもできない無力さを寂しく思いました。

それにしても、原節子の美しさが尊くて、深みのある笑顔が強く印象に残り、しばらく頭から離れませんでした。

映画とリメイクドラマの違い

リメイクドラマもなかなか良い感じでした。松たか子の雰囲気も原作映画に合っていました。

ただ、おそらく時間の都合でカットされたのだと想像しますが、母の死の部分が大幅に変更されていたところは少し残念でした。

お葬式関係のやり取りの中で遺産としてあれが欲しいこれが欲しいと言い出す下品さや、それについて、次女の今日子が紀子に「酷い」と訴えるシーンこそこの作品の見どころだと思うのですが、それがないと人間のえげつなさがソフトにしか伝わらないように感じました。

でももしかしたら、時間の関係だけでなく、婉曲する事で批判を和らげようとか周囲への忖度という意図があったのかもしれません。

現代は、リメイクドラマが制作されてから20年以上たっているけれど、その傾向はさらに強まっているようにも思えます。表面的には美しさを取り戻して、ホワイト社会なんて言われつつ、心の中の自分勝手を見えないようにしているだけなのでしょう。

古き良きと、古くから変わらずを知ることが出来るので、古い作品って面白いです。


「東京物語」



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